2000年以降、日本では女性の間でアンチエイジングという新たな美容術が人気を集めるようになりました。
この美容術では加齢と共に衰えてしまった肌の皮下組織に対して
ダイレクトに作用する美容医学を駆使するのが特徴です。
その美容医学の中でも「プラセンタ点滴」というものが非常に効果的で、
アンチエイジング療法の主軸となっているほどです。
このプラセンタ点滴の原料は満期正常分娩によって得られた胎盤であり、
ヒト由来のプラセンタとなっています。
プラセンタ点滴として用いる際は、この胎盤をサイトカイン・グルタチオンというアミノ酸に溶かして液状にします。
これを週1回から2回のペースで静脈に点滴することで美容効果を得られます。
さらに女性ホルモンにも作用するため、50歳前後の女性の多くが悩まれる更年期の治療に使用することもできるのが特徴です。
原料となる胎盤は通常、プリオンというたんぱく質エキスを抽出して使用します。
そのため無色透明であり、プラセンタ点滴も透明な液体です。
非常に安全性の高い原料で、何らアレルギー反応を心配する必要もない美容施術です。
2020年6月時点で全国に約2万1,000箇所の美容クリニック並びに婦人科で実施されています。
特定生物由来製品の概要とは
プラセンタ点滴は、特定生物由来製品という分類に分けられている医薬品です。
この特定生物由来製品とは改正薬事法第2条第6項に記載されるもので、
厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会を開催して有識者から意見を聴いたうえで製品指定をおこないます。
プラセンタ点滴であればヒト胎盤を用いていることから特定生物由来に当てはまるというわけです。
これ以外にも輸血用の血液や血液凝固剤も当てはまり、国内では計50品目が指定されています。
審査の際に注視されるのは感染因子リスクの有無、取り扱い時の管理補法・原材料の個別認識確認など
慎重に確認をしたうえで安全性をすべて証明されたものだけに製造と流通が許可されます。
2012年からは医薬品だけでなく特定健康補助食品にも適法がされるようになり、
主に生物由来製品のサプリメントが対象となっています。
美容クリニック等でおこなわれるプラセンタ点滴の場合、すべて製薬会社が厚労省から
認可を得た点滴となっているので、安心安全に用いることが可能です。
計6つの製薬会社がプラセンタ点滴を製造しており、国内の薬事法に適応している原料で製造されています。
なお、海外製品の場合は国内の薬事法に則った製法でない場合があるので
使用を見送っている医療機関が多いのが特徴です。